2009/10/12掲載
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ビルチェス伯爵夫人の肖像(Retrato de la condesa de Vilches) 1853年 126×89cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド) 関連:アングル作 『ジェイムス・ド・ロスチャイルド男爵夫人』 関連:アングル作 『ド・ブロリ公爵夫人の肖像』
魅惑的な笑みを浮かべるビルチェス伯爵夫人。本作に描かれるのは、当時のサロン(社交界)において花形的存在であり、名の知れた小説家(文筆家)でもあった≪ビルチェス伯爵夫人(アマリア・デ・リャノ・イ・ドトレス)≫32歳の姿である。
【魅惑的な笑みを浮かべる伯爵夫人】
アングルからの影響を感じさせる衣服の質感表現と色彩的対比。本作の曲線的な構図や色彩の対比などにはフランス新古典主義最後の巨匠ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングルの肖像画『ジェイムス・ド・ロスチャイルド男爵夫人の肖像』や『ド・ブロリ公爵夫人の肖像』からの影響が明らかである。
【衣服の質感表現と色彩的対比】
しなやかな指先と高い写実的描写技法。ゆったりと椅子に腰掛けるビルチェス伯爵夫人の身に着けた豪奢で気品漂う衣服は夫人の丸みを帯びた柔らかい姿態を包み込むように肩が露出しており、その艶やかな光沢を放つ青色の衣服の質感は、白い夫人の肌と明確な対比を示している。
【高い写実的描写技法】 |