Description of a work (作品の解説)
2008/04/07掲載
Work figure (作品図)
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水浴する女たちと赤い雌牛


(Baigneuses à la vache rouge) 1889年
92.7×72.3cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

象徴主義を代表する巨匠であり、総合主義の創始者のひとりでもある画家エミール・ベルナールの傑作『水浴する女たちと赤い雌牛』。画家がポール・ゴーギャン(ゴーガン)らと共に、己の代表作を数多く生み出したブルターニュ地方ポン=タヴェン時期(1888年-1903年)に制作された本作に描かれるのは、赤い雌牛のある≪水浴する女≫の図であるが、この群衆的な≪水浴する人々≫という画題は近代絵画の始祖的存在であり、後期印象派を代表する画家でもあるポール・セザンヌ(例:女性大水浴図など)や、印象派の大画家エドガー・ドガからの影響であり、本作はそれらをクロワゾニスム(対象の質感、立体感、固有色などを否定し、輪郭線で囲んだ平坦な色面によって対象を構成する描写)に応用した作品でもある。黒く明確な輪郭線によって囲まれた水浴する女性(裸婦)や象徴的な赤い雌牛、水浴場などは、観る者の目を強く惹きつける強烈な色彩が平面的に塗られている。その形態も(輪郭)線と面による単純化が試みられており、それまでの絵画における(女性)美の観念や表現に対する明らかな反抗や改革心を如実に感じさせる。また遠近感を全く感じさせない空間構成や大胆な画面展開は、ベルナールが友人である画家アンクタンと共に興味を注いでいた日本趣味(ジャポニズム)の影響を思わせる。現に日本趣味はクロワゾニスムやサンテティスム(クロワゾニスムを用いながらイメージを象徴として捉え、絵画上での平面的な単純化を目指す表現主義)創始にも重要な役割を果たしたことが知られている。


【全体図】
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太く明確な黒い輪郭線に囲まれた裸婦の形態。己の代表作を数多く生み出したブルターニュ地方ポン=タヴェン時期(1888年-1903年)に制作された本作に描かれるのは、赤い雌牛のある≪水浴する女≫の図である。



【太く明確な黒い輪郭線に囲まれた裸婦】
寝そべる裸婦の平面的な表現。黒く明確な輪郭線によって囲まれた水浴する女性(裸婦)や象徴的な赤い雌牛、水浴場などは、観る者の目を強く惹きつける強烈な色彩が平面的に塗られている。



【寝そべる裸婦の平面的な表現】
画面左上へ象徴的に配される赤い雌牛。遠近感を全く感じさせない空間構成や大胆な画面展開は、ベルナールが友人である画家アンクタンと共に興味を注いでいた日本趣味(ジャポニズム)の影響を思わせる。



【画面左上へ象徴的に配される赤い雌牛】

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