Description of a work (作品の解説)
2009/03/01掲載
Work figure (作品図)
■ 

森の春

 (Le printemps dans la forêt) 1907年
136×198cm | 油彩・画布 | プリウレ美術館

ナビ派随一の理論派モーリス・ドニ1900年代の代表作『森の春』。1907年に制作された本作は、春の森で水浴する女性(婦人)たちを描いたある種の裸婦作品で、画家の古典的様式の探求と象徴主義的理論との融合が示される点で特に重要視される作品のひとつである。ドニは1904年にローマやナポリ、フィレンツェなどイタリア旅行に出掛けており、同地で初期ルネサンス様式に大きな傾倒を見せていたことが知られている(※ドニは帰国直後に古代・ルネサンスに関する論文も発表している)。本作に描かれる裸婦たちも、古典絵画の特徴的な古代風衣服を身に着けており、その表現はアカデミズムとは決定的に異なる、(特に襞の描写において)垂直が強調された、彫刻的な重厚感に溢れている。さらに女性たちの静謐で静止したかのような非運動的な姿態や性的官能性より神聖な美を感じさせる象徴的な裸体表現も、画家の古典様式への深い考察が感じられる。さらに女性らの背後に描かれる硬質的な(樺の)樹木や鏡面的な湖の幻想性に富んだ非現実的な描写が、それらをより効果的に強調している。またドニは本作を手がける前年にエクスで最晩年のポール・セザンヌと、カーニュでルノワールと、サン=トロペでシニャックと対面しており、本作にはセザンヌの堅質的な造形性など彼らからの影響も見出すことができる。表現手法に注目しても本作の新印象主義を思わせる色彩理論的な点描的表現や、明暗対比を明確に表した輝くような色彩表現などにはモーリス・ドニの新たな絵画的発達が顕著に示されている。


【全体図】
拡大表示
制止的な水浴の女性の姿態。本作の垂直が強調された、彫刻的な重厚感に溢れている衣服を身に着けた裸婦の、静謐で静止したかのような非運動的な姿態や性的官能性より神聖な美を感じさせる象徴的な裸体表現も、画家の古典様式への深い考察が感じられる。



【制止的な水浴の女性の姿態】
観る者へと視線を向ける無垢な子供。1907年に制作された本作は、春の森で水浴する女性(婦人)たちを描いたある種の裸婦作品で、画家の古典的様式の探求と象徴主義的理論との融合が示される点で特に重要視される作品のひとつである。



【観る者へと視線を向ける無垢な子供】
幻想性に富んだ非現実的な風景表現。表現手法に注目しても本作の新印象主義を思わせる色彩理論的な点描的表現や、明暗対比を明確に表した輝くような色彩表現などにはモーリス・ドニの新たな絵画的発達が顕著に示されている。



【幻想性に富んだ非現実的な風景】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ