2008/05/08掲載
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アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I(Bildnis Adele Bloch-Bauer I) 1907-08年 138×138cm | 油彩・画布・金箔・銀箔 | 個人所蔵 関連:1912年制作 『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 II』
写実的に表現されるアデーレ・ブロッホ=バウアーの顔。裕福な銀行家兼企業家フェルディナント・バウアーの妻アデーレ・ブロッホ=バウアーが描かれる本作には、自然主義的な写実表現と、金箔・銀箔を多用した、豪奢で華麗な平面的装飾性を融合させた、クリムト独自の表現・様式美の頂点が示されている。
【写実的に表現されるアデーレの顔】 エジプト美術から着想が得られている三角形の目。この三角形の目で装飾されるアデーレの身に着けたドレスを始め、その上に羽織られる流々と広がった布衣、そしてアデーレの背後の大小様々な円形で構成される文様は、画面の中で一体となり心地よいリズムを刻んでいる。
【エジプト美術の三角形の目】 色彩のアクセントとして効果を発揮する緑色部分。本作は2006年のオークションで競売にかけられ、化粧品会社エスティー・ローダー会長ロナルド・ローダー氏が史上最高値となる1億3500万ドル(約160億円)で落札し、現在は同氏が所有するニューヨークのノイエ・ギャラリーで(永久貸出として)展示されている。
【アクセントとして効果を発揮する緑色】 |