Description of a work (作品の解説)
2008/05/07掲載
Work figure (作品図)
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フリッツァ・リードラーの肖像


(Bildnis Fritze Riedler) 1906年
153×133cm | 油彩・画布 | オーストリア美術館(ウィーン)

ゼツェッション(ウィーン分離派)の巨匠グスタフ・クリムトの代表的な肖像画作品のひとつ『フリッツァ・リードラーの肖像』。本作に描かれるのは、詳細は不明であるが、ドイツ出身でありながらウィーンで高級官僚となった男の妻≪フリッツァ・リードラー≫である。本作で最も特徴的なのは、写実的に描写されるフリッツァ・リードラーの顔と、それとは全く対照的な、平面的・抽象的描写によって表現される背景や装飾具、家具などの対比にある。裕福なブルジョワ階級らしく気品に溢れたフリッツァ・リードラーの顔は、古典的な自然主義的な写実によって描写されているものの、その頭部の極めて独創的な装飾的表現はウィーン美術史美術館に所蔵されているスペイン・バロック絵画の大画家ディエゴ・ベラスケスの『マリア・テレーサ王女の肖像』や、エジプト美術からの影響が何度も指摘されている。またフリッツァ・リードラーが座る椅子の孔雀の羽や生物の瞳を思わせる(やや奇怪な)抽象性や平面性、背後の数箇所に散りばめられた小さな四角形のモザイク文様の使用や、平坦な色面によって面化された表現などは、ウィーン分離派独自の様式の特徴を良く示している。さらにフリッツァ・リードラーの顔の写実性と背後の装飾性との対比はもとより、画面左上の金色と背景の大部分を占める朱色、この朱色とフリッツァ・リードラーが身に着ける柔らかな白地の衣服、そしてこの単色的な白地の衣服と椅子の複雑な文様性など至る箇所での対比的表現も注目すべき点のひとつである。

関連:ディエゴ・ベラスケス作『マリア・テレーサ王女の肖像』


【全体図】
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写実的に表現されるフリッツァ・リードラーの顔。本作で最も特徴的なのは、写実的に描写されるフリッツァ・リードラーの顔と、それとは全く対照的な、平面的・抽象的描写によって表現される背景や装飾具、家具などの対比にある。



【写実的なフリッツァ・リードラーの顔】
孔雀の羽や生物の瞳を思わせる(やや奇怪な)椅子の文様。この椅子の抽象性や平面性、背後の数箇所に散りばめられた小さな四角形のモザイク文様の使用や、平坦な色面によって面化された表現などは、ウィーン分離派独自の様式の特徴を良く示している。



【孔雀の羽や生物の瞳を思わせる椅子】
平坦な色面によって面化された背景の表現。フリッツァ・リードラーの頭部の極めて同窓的な装飾的表現はウィーン美術史美術館に所蔵されているスペイン・バロック絵画の大画家ディエゴ・ベラスケスの『マリア・テレーサ王女の肖像』や、エジプト美術からの影響が何度も指摘されている。



【平坦な色面によって面化された背景】

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