Description of a work (作品の解説)
2009/08/22掲載
Work figure (作品図)
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ヘラクレスとレルネのヒュドラ


(Hercule et l'Hydre de Lerne) 1876年頃
179.3×153cm | 油彩・画布 | シカゴ美術研究所

フランス象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モローを代表する神話的世界観の作品『ヘラクレスとレルネのヒュドラ』。1869年のサロン出品作『プロメテウス』等への酷評から7年ぶりのサロン再出品作としても広く知られている本作は、ギリシア神話において最も有名な英雄のひとり≪ヘラクレス≫がおこなった12功業の2番目≪レルネーのヒュドラ≫を主題に制作された作品である。本主題≪レルネーのヒュドラ≫はエウリュステウス王からレルネーの沼沢地帯に棲みつく猛毒を持った九頭の水蛇≪ヒュドラ≫の退治を言い渡されたヘラクレスが、同地で従者イオラオスの手を借りながらヒュドラの九頭中八頭を焼きながら斬首し、最後に残った不死の一頭を岩下へ埋め王の命令を完遂したという物語で、本作ではヒュドラと対峙するヘラクレスが描き込まれている。画面左側へは棍棒を手にし雄々しく逞しい肉体と強固な意志を感じさせる視線を毅然とヒュドラへ向けるヘラクレスが、画面右側には九つの鎌首を持ち上げ、ヘラクレスに明らかな敵意を示すヒュドラが配されており、両者の間では戦いの前の緊張感が漲っている。そしてヒュドラの周辺には己が殺した死体が散乱しており、観る者へヒュドラの獰猛性と強大な力を連想させることに成功している。さらにヘラクレスとヒュドラの間の岩の谷間から見える、薄く雲のかかった太陽は張り詰めたこの場の空気と、時間的経過を観る者により強く印象付ける効果を生み出している。本作の明暗対比の大きな重厚的光彩表現は1870年代のモローの表現の大きな特徴であり、この点も本作の大きな見所のひとつに数えられる。なお本作は1878年に開催されたパリ万国博覧会へも出品されている。

関連:モロー美術館所蔵 『ヘラクレスとレルネのヒュドラ』


【全体図】
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毅然とヒュドラへ立ち向かうヘラクレスの姿。7年ぶりのサロン再出品作としても広く知られている本作は、ギリシア神話において最も有名な英雄のひとり≪ヘラクレス≫がおこなった12功業の2番目≪レルネーのヒュドラ≫を主題に制作された作品である。



【毅然とヒュドラへ立ち向かうヘラクレス】
鎌首を持ち上げヘラクレスへ敵意を示すヒュドラ。画面左側へは棍棒を手にし雄々しく逞しい肉体と強固な意志を感じさせる視線を毅然とヒュドラへ向けるヘラクレスが、画面右側には九つの鎌首を持ち上げ、ヘラクレスに明らかな敵意を示すヒュドラが配されており、両者の間では戦いの前の緊張感が漲っている。



【ヘラクレスへ敵意を示すヒュドラ】
ヒュドラの獰猛性と強大な力を連想させる死体。ヘラクレスとヒュドラの間の岩の谷間から見える、薄く雲のかかった太陽は張り詰めたこの場の空気と、時間的経過を観る者により強く印象付ける効果を生み出している。



【ヒュドラの獰猛性を連想させる死体】

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