2009/11/02掲載
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庭園のサロメ(Salomé au jardin) 1878年72×43cm | 水彩・紙 | 個人所蔵
穏やかな表情を浮かべるサロメの姿。本作は画家が『出現』などでも主題として取り上げている、ユダヤ王ヘロデ=アンティパスの姪で、その後妻ヘロデヤの娘≪サロメ≫が洗礼者聖ヨハネの首を盆に乗せ運ぶ場面を描いた作品である。
【穏やかな表情を浮かべるサロメ】
斬首された洗礼者聖ヨハネ。画面中央に配されるサロメは、まるで聖母のような穏やかで慈愛に満ちた笑みを浮かべながら自らが運ぶ洗礼者聖ヨハネの首へと静かに視線を向けている。サロメの足下には斬首された洗礼者聖ヨハネの身体がおどろおどろしい様子で描き込まれており、サロメの温和な様子と異様な対比を示している。
【斬首された洗礼者聖ヨハネ】
おぞましい光景に思わず逃げ出す執行人たち。深緑に包まれた庭園の東屋は輝くような光によって美しくサロメらを包み込んでおり、その光景はあたかも神話上の一場面的な印象を観る者に与えるが、本作に描かれる己の欲望に従い残虐な殺人とその結果を求め、それにひとときの満足感を抱くサロメの本質は、ファム・ファタル(運命の女・悪女)そのものである。
【この光景に思わず逃げ出す執行人】 |