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女占い師 (Diseuse de bonne aventure) 1636-1639年頃
102×123cm | 油彩・画布 | メトロポリタン美術館 |
フランス古典主義を代表する巨匠ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの代表作『女占い師』。本作に描かれるのは、白帽子を被った老婆の女占い師が若い男を占う風俗的主題で、この主題はバロック絵画の巨匠カラヴァッジョを始めとし、数多くの画家が手がけている。この白帽子を被った老婆がコインを用いて若い男の未来を占っているが、若い男の周りではジプシー女たちが男の持ち物を窃盗している。老婆と男の間のジプシー女は、男の顔色を窺いながら手元では男が身に着ける金鎖を切っており、また男の背後のジプシー女らは、今まさに男の財布を盗まんと手を伸ばしている。本作では登場人物の全てがほぼ垂直に配され、対象の形体や筆触にやや発達途上な部分が見られるものの、高度な写実描写による浮き彫り的な力強い表現は、観る者を圧倒するだけでなく、本場面へと誘うかのように強く惹きつける。ラ・トゥールの作品としては例外的な昼の情景が描かれている点や、登場人物が纏う衣服などの時代考証が合わない点、他に類似のない署名などから過去には真贋が幾度も問われてきたものの、現在では真作であるとする説でほぼ占められる本作は、その来歴も不明な点が多く、1949年に本作を狙っていたルーヴル美術館が取得できず、画商ウィルデンスタインが取得し国外へ持ち出した為、その許可を与えた当時の文化相アンドレ・マルローが下院議会で、釈明しなければならない事態へと発展した。なお本作はおそらくは騙される若い男を中心として描かれたものであり、後年、どこかの時代で左側部分が約30センチ前後切断されたと推測されているほか、上部を約6センチ程加筆されていることが判明している。
関連:カラヴァッジョ作 『女占い師(ジプシー女)』
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