Description of a work (作品の解説)
2007/03/12掲載
Work figure (作品図)
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浴盤(たらいで湯浴みする女)

 (Le Tub) 1886年頃
60×83cm | パステル・厚紙 | オルセー美術館(パリ)

印象派の巨匠エドガー・ドガが手がけた裸婦像の代表作『浴盤(たらいで湯浴みする女)』。本作は1886年に、当時パリで最も有名だったレストラン≪メゾン・ドレ≫の3階で開催された(最後の印象派展となる)第八回印象派展に出典されたパステルによる裸婦像作品群の中の一点で、まるで無防備に水浴する女性を鍵穴から覗いているかのような感覚で描かれている独特の視点は、本作の最も大きな特徴のひとつである。この個人視点的なアプローチはアトリエでモデルに姿態を執らせて描いたもので、無理な姿勢を強いられたモデルの苦痛の言葉が残されている。ドガの描く水浴する女の根本は娼婦の心象・形象から発生したものであるが(性病感染の予防から当時、娼婦は全裸で水浴していたものの、一般的な女性は全裸で水浴することはなかった)、そこにはレンブラント(例:レンブラント作『バテシバ』)や、ブーシェ(例:ブーシェ作『水浴のディアナ』)など過去の巨匠らの描く裸婦像からの影響や関連性が指摘されている。エドガー・ドガは人間の瞬間を捉え描くことに長けデッサンを最も重要視した画家であり、特に数多く手がけた女性像にみられる日常的な仕草の描写は、ドガの卓越した観察眼による真実性を踏まえた人間描写の最たる表現で、本作はその表現と美的感覚が見事に融合した作品として、広く人々の心を捉え続けるのである。

関連:ルーヴル美術館所蔵 レンブラント作 『バテシバ』
関連:ルーヴル美術館所蔵 ブーシェ作『水浴のディアナ』


【全体図】
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たらいを置き水浴する女。本作は1886年に、当時パリで最も有名だったレストラン≪メゾン・ドレ≫の3階で開催された(最後の印象派展となる)第八回印象派展に出典されたパステルによる裸婦像作品群の中の一点である。



【たらいを置き水浴する女】
鍵穴から覗くかのような独特の視点。まるで無防備に水浴する女性を鍵穴から覗いているかのような感覚で描かれている独特の視点は本作の最も大きな特徴のひとつで、アトリエでモデルに無理な姿勢を強いて描いたことが知られている。



【鍵穴から覗くかのような独特の視点】
水浴後の身支度に必要な道具類。ドガの描く水浴する女の根本は娼婦の心象・形象から発生したものであるが(性病感染の予防から当時、娼婦は全裸で水浴していたものの、一般的な女性は全裸で水浴することはなかった)、そこにはレンブラントブーシェなど過去の巨匠らの描く裸婦像からの影響や関連性が指摘されている。



【水浴後の身支度に必要な道具類】

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