2007/12/14掲載
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化粧をする後向きの若い娘(鏡の前の女性、化粧室の婦人)(Jeune femme de dos à sa toilette) 1880年60.3×80.4cm | 油彩・画布 | シカゴ美術研究所
女性の瞬間の仕草を捉える独特の視点。1876年に開催された第二回印象派展に出品された作品である本作に描かれるのは、鏡の前で化粧をおこなう(整える)若い娘の後ろ姿で、女性特有の視点による当時の社会や流行、そして(上流階級層の)日常の情景が捉えられている。
【瞬間の仕草を捉える独特の視点】
パステル描写を感じさせる淡彩的で軽快な色彩。トリミングしたかのような独特な画面構成や、ドガや浮世絵を連想させる特異なアプローチや構図は画家の作品としてはやや珍しい展開ではあるものの、それによって化粧をする若い娘の何気ない日常的な仕草や(身体の)表情が結果としてより強調されている。
【淡彩的で軽快な色彩】
鏡部分に記されたモリゾのサイン。パステル描写を感じさせる淡彩的で軽快な色彩や、鋭利的かつ奔放で大胆な筆致は写実性よりも印象性や装飾性を感じさせるほか、明瞭な色彩はロココ美術の巨匠たちの影響が指摘されている。
【鏡部分に記されたモリゾのサイン】 |