Description of a work (作品の解説)
2007/05/07掲載
Work figure (作品図)
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舟遊びをする人々の昼食


(Déjeuner des canotiers) 1881年
129.5×172.5cm | 油彩・画布 | フィリップス・コレクション

印象派最大の巨匠の一人ピエール=オーギュスト・ルノワールの代表作『舟遊びをする人々の昼食』。1882年の第7回印象派展に出品された本作は、セーヌ河沿いラ・グルヌイエールにあるイル・ド・シャトゥー(シャトゥー島)でアルフォンス・フルネーズ氏が経営する≪レストラン・フルネーズ≫のテラスを舞台に、舟遊びをする人々の昼食の場面を描いた作品である。本作はルノワールの最も世に知られる印象主義時代の傑作『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』に続く、屋内外で過ごす(集団的)人々の描写に取り組んだ作品でもあり、『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』同様画家の友人・知人らの姿が多数描かれている。中央の昼食やワインが置かれるテーブルを中心に画面左部分手前には犬を抱き上げる(後に画家の妻となる)アリーヌ・シャリゴとその後ろにレストランの経営者アルフォンス・フルネーズの姿が、画面右側手前に椅子に座り談笑する画家ギュスターヴ・カイユボットと女優エレン・アンドレ(エドガー・ドガの代表作『アプサントを飲む人』のモデルとしても知られている)、そして取材者マジョロの姿が配されているほか、画面奥にはバルコニーへ身体を預ける(帽子を被った)経営者の娘アルフォンシーヌ・フルネーズと会話するバルビエ男爵の後姿や、グラスを口元へ傾けるモデルのアンジェール、その後ろで経営者の息子アルフォンスJrと話をしている(ドガの友人でもある)銀行家兼批評家のシャルル・エフリュッシ、そして画面奥右端にはジャンヌ・サマリーやポール・ロート、レストリンゲスの姿が確認できる。本作では人体描写の形態的躍動感や生命感、色幅の大きい奔放かつ豊潤な色彩描写、明瞭で卓越した光の表現、前景卓上の静物の洗練された描写などにルノワールの(印象主義的)技巧の成熟が感じられるほか、風景描写とやや切り離された登場人物の堅牢で存在感のある表現は注目に値する。また本作はルノワールが印象主義時代との決別や終焉を告げた作品でもあり、画家の重大な転換期における最後かつ集大成的な作品としても特に重要視されている。なお本作は第7回印象派展閉幕後、すぐに画商デュラン・リュエルによって購入されている。

関連:『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』


【全体図】
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犬を抱き上げる(後に画家の妻となる)アリーヌ・シャリゴ。本作は1882年の第7回印象派展に出品された、セーヌ河沿いラ・グルヌイエールにあるイル・ド・シャトゥー(シャトゥー島)でアルフォンス・フルネーズが経営する≪レストラン・フルネーズ≫のテラスを舞台に、舟遊びをする人々の昼食場面を描いた作品である。



【犬を抱き上げるアリーヌ・シャリゴ】
椅子に座り談笑する画家ギュスターヴ・カイユボットと女優エレン・アンドレ。本作はルノワールの最も世に知られる印象主義時代の傑作『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』に続く、屋内外で過ごす(集団的)人々の描写に取り組んだ作品でもあり、『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』同様画家の友人・知人らの姿が多数描かれている。



【談笑するカイユボットとエレン・アンドレ】
前景テーブル上の静物の洗練された描写。本作では人体描写の形態的躍動感や生命感、色幅の大きい奔放かつ豊潤な色彩描写、明瞭で卓越した光の表現、卓上の静物の洗練された描写などにルノワールの(印象主義的)技巧の成熟が感じられる。



【テーブル上の静物の洗練された描写】

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