Description of a work (作品の解説)
2007/10/21掲載
Work figure (作品図)
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散歩道(プロムナード)

(La promenade) 1870年
81×65cm | 油彩・画布 | ポール・ゲッティ美術館

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワールが初期に手がけた傑作『散歩道(プロムナード)』。本作は若い男性と女性が戸外の散歩道を歩く情景を描いた作品で、しばしば(画家が本作を手がける2年程前に制作した)『アルフレッド・シスレー夫妻の肖像』などの作品との関係性が指摘されている。これらの作品らに共通するのは手を取り合う男女のカップルという画題であり、ルノワールの1860年代での(後の印象派を代表する画家となる)クロード・モネアルフレッド・シスレーフレデリック・バジールなどと出会いが、少なからず影響を与えていると推測されている。本作では散歩道の坂道で、流行の帽子を被った若い男が少し前傾姿勢で、白いドレスを身に着ける若い女に手を差し出している。細かく闊達に動く筆触による印象主義的様式の強い描写によって表される、女性の白いドレスに反射する光の表現は、一見すると煩雑のようにも思えるが、輝くような陽光の反射の卓越した描写や、軽やかで質の良さそうなドレスの質感を見事に感じさせる。また上半身と下半身の半分を影に覆われている若い男と、陽の光を全身に浴びている若い女との(絵画表現的な)対照性も注目すべき点のひとつである。さらに若い男の下半身や二人が歩く小道の(木々の間から差し込むことによって表れる)斑点状の光と影の表現も、画家の印象主義時代随一の代表作である『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』や『ぶらんこ』などに通ずる光の描写手法であり、今日でも我々観る者の眼と関心を強く惹きつけるのである。

関連:『アルフレッド・シスレー夫妻の肖像』


【全体図】
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女に手を差し出す流行の帽子を被った若い男。本作は若い男性と女性が戸外の散歩道を歩く情景を描いた作品で、しばしば(画家が本作を手がける2年程前に制作した)『アルフレッド・シスレー夫妻の肖像』などの作品との関係性が指摘されている。



【流行の帽子を被った若い男】
陽の光を全身に浴びている若い女。手を取り合う男女のカップルという画題が描かれる本作では、散歩道の坂道で、流行の帽子を被った若い男が少し前傾姿勢で、白いドレスを身に着ける若い女に手を差し出している情景が表現された。



【陽の光を全身に浴びている若い女】
輝くような白いドレスの陽光の反射。細かく闊達に動く筆触による印象主義的様式の強い描写によって表される、女性の白いドレスに反射する光の表現は、一見すると煩雑のようにも思えるが、輝くような陽光の反射の卓越した描写や、軽やかで質の良さそうなドレスの質感を見事に感じさせる。



【輝くような白いドレスの陽光の反射】
木々の間から差し込むことによって表れる斑点状の光と影。この光と影の表現も、画家の印象主義時代随一の代表作である『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』や『ぶらんこ』などに通ずる光の描写手法であり、特筆すべき点のひとつである。



【斑点状の光と影】

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