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コレッジョ (Correggio)
2006/10/28掲載
【全体図】
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■
悪徳の寓意
(Allegoria del Vizio) 1532-1533年頃
141×86cm | テンペラ・画布 | ルーヴル美術館(パリ)
マニエリスム
期の大画家コレッジョによる最後の作品『悪徳の寓意』。マントヴァを統治していた名家ゴンザーガ家に嫁ぎ、同地の芸術振興に多大な貢献をしたイザベラ・デステの書斎を飾るために『
美徳の寓意
』と共に、対画として制作された本作に描かれるのは、時代や置かれる社会によって解釈が異なる部分はあるものの、中世以降の欧州社会で主に不信仰や不誠実、裏切り、強欲、欺瞞、怠惰、虚偽、快楽、偽善、嫉妬、傲慢などキリスト教社会において規範から外れた行為や嗜好を指す≪悪徳≫の寓意で、本作では音楽(快楽)で誘惑する男や、邪悪を象徴する蛇で詰寄る女の姿などに擬人化され表現されている。本作における最も特徴的な魅力は、画家特有の甘美性や官能性が顕著に示された≪悪徳≫の表現そのものであり、人間は善より悪に惹かれやすい性質であるが故に、描かれた当初から『悪徳の寓意』は『
美徳の寓意
』より高い評価を得ている。また画面最下部で観者を悪戯な瞳で挑発的に見つめる幼児の姿も、本作をより印象的な作品にする大きな要因となっている。なお≪悪徳≫を扱うの寓意画は≪美徳≫同様、古くから幾多の画家が描いてきた主題であり、
初期ネーデルランド絵画
では
ヒエロニムス・ボス
や
ピーテル・ブリューゲル
などが特異で幻想性の高い世界の中や現実の民衆生活の中に表現している。
関連:
コレッジョ作 対画『美徳の寓意』
【堕落してゆく男の姿】
堕落してゆく男の姿。本作に描かれるのは、時代や置かれる社会によって解釈が異なる部分はあるものの、中世以降の欧州社会で主に不信仰や不誠実、裏切り、強欲、欺瞞、怠惰、虚偽、快楽、偽善、嫉妬、傲慢などキリスト教社会において規範から外れた行為や嗜好を指す≪悪徳≫の寓意である。
【音楽を奏で快楽に導く≪悪徳≫】
音楽を奏で快楽に導く擬人化された≪悪徳≫。本作では音楽(快楽)で誘惑する男や、邪悪を象徴する蛇で詰寄る女の姿などに擬人化され、画家特有の甘美性や官能性が顕著に示された≪悪徳≫の表現は、本作の最も大きな魅力のひとつである。
【邪悪を象徴する存在として知られる蛇】
邪悪を象徴する存在として知られる蛇。キリスト教において最初の女性とされるエヴァに≪善悪の知識の実≫を教えたことなどから邪悪な存在として扱われる蛇は、神話など他宗教では善の象徴として扱われることもある。
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