Description of a work (作品の解説)
2010/06/20掲載
Work figure (作品図)
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奴隷のいるオダリスク


(Odalisque à l'esclave) 1839-40年
72×100cm | 油彩・画布 | フォッグ美術館

フランス新古典主義の偉大なる巨匠ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル後期を代表する裸婦作品のひとつ『奴隷のいるオダリスク』。アングルがパリの友人シャルル・マルコット・ダルジャントゥイユから1821年に依頼を受け、大凡20年の経過後、サロンでの酷評に失意し訪れた自身2度目の滞在となるローマで完成された本作は、当時の東方趣味(オリエンタリズム)の流行に基づいた≪オダリスク(イスラム社会における後宮の女性を意味する)≫を主題とする裸婦作品である。アングルと対極に位置付けられていたロマン主義の巨匠ドラクロワがサロン(官展)へ『アルジェの女たち(1834年)』を出品し、大きな反響と賛辞を得ていたことからも理解できるよう、19世紀当時のフランス絵画界(及び文化)では東方趣味がひとつの大きな流れとなっており、本作もそれに準じた作品のひとつと位置付けられる(アングル自身、1814年にほぼ同主題の傑作『グランド・オダリスク』を手がけている)。前景として画面下部やや右側に両腕を頭部付近で組みながら寝そべるオダリスク(後宮の女性)が配されており、絶頂後の恍惚を思わせるような艶かしい表情や、柔らかく優美な姿態の曲線には眼を奪われるばかりである。またオダリスクと対称的な位置に配される楽器を奏でる召使との着衣的な対比も秀逸である。さらに本作ではオダリスクの足位置にオダリスクを囲う権力者を暗示させるかのように豪奢な帽子や衣服の一部が丹念に描き込まれていることは、そのまま我々が作品を目にする視点が権力者(サルタン)の視点であるという解釈もおこなうことができる。そして画面奥には後宮(ハーレム)の守衛である黒人の臣下が前景より一段階暗く描かれている。本作は絵画的表現に注目しても、朱色の円柱や装飾された手摺柵、壁に描かれるイスラム的文様で強調される垂直や水平など新古典主義様式を明確に感じさせながら、それと対比するかのようなオダリスクの曲線美にはアカデミズム的理念を見出すことができる。


【全体図】
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艶かしく恍惚としたオダリスク。アングルがパリの友人シャルル・マルコット・ダルジャントゥイユから1821年に依頼を受け、大凡20年の経過後、サロンでの酷評に失意し訪れた自身2度目の滞在となるローマで完成された本作は、当時の東方趣味の流行に基づいた≪オダリスク≫を主題とする裸婦作品である。



【艶かしく恍惚としたオダリスク】
楽器を奏でる召使の姿。前景として画面下部やや右側に両腕を頭部付近で組みながら寝そべるオダリスク(後宮の女性)が配されており、絶頂後の恍惚を思わせるような艶かしい表情や、柔らかく優美な姿態の曲線には眼を奪われるばかりであり、またオダリスクと対称的な位置に配される楽器を奏でる召使との着衣的な対比も秀逸である。



【楽器を奏でる召使の姿】
画面奥に描かれる黒人の臣下。本作ではオダリスクの足位置にオダリスクを囲う権力者を暗示させるかのように豪奢な帽子や衣服の一部が丹念に描き込まれていることは、そのまま我々が作品を目にする視点が権力者(サルタン)の視点であるという解釈もおこなうことができる。



【画面奥に描かれる黒人の臣下】

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