Description of a work (作品の解説)
2010/03/03掲載
Work figure (作品図)
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アルジェの女たち

 1834年
(Femmes d'Alger dans leur appartement)
180×229cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランス・ロマン主義の巨匠ウジェーヌ・ドラクロワの傑作『アルジェの女たち』。ドラクロワが1832年に友人であったモルネー伯爵の誘いで政府使節団の一員として参加したモロッコ・ナイジェリアなど北アフリカ旅行でのスケッチに基づいて帰国後に制作された、1834年のサロン出品作でもある本作は、モロッコを訪れた後、最後の数日間滞在したアルジェリア最大の都市≪アルジェ≫の≪ハーレム(イスラム圏内における女性居室を指す)≫に住まう女たちを描いた異国情緒溢れる作品である。画面の中央へは2名、左側へは1名ハーレムの女らが配されているが、その様子はハーレム特有の気だるさと官能的な風俗性に富んでいる。彼女らが身に着ける豊かな色彩と文様による異国的な衣服は独特の情緒と異国的雰囲気を感じさせ観る者を強く惹きつける。さらに画面右側には女たちの従者である黒人女性が配され人物的対比が示されている。このような異国独特の風俗性や官能性、さらには東方的主題の扱いなども特筆に値するものであるが、本作で最も注目すべき点は類稀な色彩の妙にある。画面右上から差し込む北アフリカの強烈な陽光によって光と影の強い対比が示されているが、ドラクロワはその陰影の中に多様な色彩を見出し、色彩による対比でもそれを描写している。このような明度の差異に頼らない輝くような色彩の多様的使用は当時としては非常に画期的であり、この色彩の使用方法はピカソを始めとした20世紀の画家らにまで多大な影響を与えた。なお本作の東方趣味的主題や陰影の中に見出された色彩などに強く魅了された印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワールは『オダリスク(アルジェの女)』や『アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)』など本作に着想を得た作品を複数制作している。

関連:ルノワール作 『オダリスク(アルジェの女)』
関連:ルノワール作 『アルジェリア風のパリの女たち』


【全体図】
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気だるさを感じさせるハーレムの女たち。モロッコ・ナイジェリアなど北アフリカ旅行でのスケッチに基づいて帰国後に制作された、1834年のサロン出品作でもある本作は、モロッコを訪れた後、最後の数日間滞在したアルジェリア最大の都市≪アルジェ≫の≪ハーレム≫に住まう女たちを描いた異国情緒溢れる作品である。



【気だるさを感じさせるハーレムの女】
異国情緒溢れる服装。画面右上から差し込む北アフリカの強烈な陽光によって光と影の強い対比が示されているが、ドラクロワはその陰影の中に多様な色彩を見出し、色彩による対比でもそれを描写している。



【異国情緒溢れる服装】
ハーレムの女らの従者である黒人女性。明度の差異に頼らない輝くような色彩の多様的使用は当時としては非常に画期的であり、この色彩の使用方法はピカソを始めとした20世紀の画家らにまで多大な影響を与えた。



【従者である黒人女性】

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