Description of a work (作品の解説)
2008/07/07掲載
Work figure (作品図)
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アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)

 1872年
(Parisiennes habillées en algériennes (Le Harem))
156×128.8cm | 油彩・画布 | 国立西洋美術館(東京)

印象派の偉大なる画家ピエール=オーギュスト・ルノワールの画業の初期において最も重要な作品のひとつ『アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)』。制作年1872年のサロンに出品されるも落選となった本作はロマン主義の巨匠ウジェーヌ・ドラクロワの傑作『アルジェの女たち』に大きく影響を受けたルノワールが、同作品から着想を得て同画題で制作した作品である。この頃のルノワールはドラクロワに強く傾倒しており、本作を手がける2年程前にもルノワールはオリエンタリズム(東方趣味・東方的構造)的な作品として『オダリスク(アルジェの女)』を制作しているが、本作では『アルジェの女たち』から受けた霊感とその影響をより明確(如実)に示している。画面中央には金髪の若い娘がやや俯き加減で鏡に視線を送りながら腰を下ろしており、その手前(画面右側)には鏡を持つ長い黒髪が印象的なオリエンタルな衣服を身に着ける女が、奥(画面左側)には化粧道具を持つ上半身が裸体の女が配されている。そして画面の奥にはもう一人の女が描かれており、これは『アルジェの女たち』における黒人の侍女を変化させた展開と考えられる。女性らが身にまとう官能的な透ける衣服や絨毯とその模様、脱がれた靴、装飾品などは全てアラブ風であり、観る者に東方的な雰囲気を強く感じさせる。またこの東方趣味的展開もさることながら、ドラクロワが示した強く明瞭な光の表現や、そこに落ちる陰影の多様な色彩性の再現も本作の特筆すべき点である。女性たちの肌は強烈な光に照らされ白く輝きに満ちており、それは同時に女性としての肉感に溢れた官能性をも照らし出しているかのようである。さらに画面全体の赤味を帯びた微妙な色彩表現もドラクロワの影響を強く感じさせるが、ドラクロワと比較しより明瞭な色調を用いていることは、ルノワールの印象主義への傾倒も示している。

関連:ウジェーヌ・ドラクロワ作 『アルジェの女たち』
関連:『オダリスク(アルジェの女)』


【全体図】
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鏡に視線を向ける金髪の女。制作年1872年のサロンに出品されるも落選となった本作はロマン主義の巨匠ウジェーヌ・ドラクロワの傑作『アルジェの女たち』に大きく影響を受けたルノワールが、同作品から着想を得て同画題で制作した作品である。



【鏡に視線を向ける金髪の女】
ドラクロワの影響を強く感じさせる多様な色彩性。ドラクロワが示した強く明瞭な光の表現や、そこに落ちる陰影の多様な色彩性の再現も本作の特筆すべき点で、画面全体の赤味を帯びた微妙な色彩表現や強烈な光に照らされ白く輝きに満ちた肌の質感にそれが示されている。



ドラクロワの影響である多様な色彩性】
絨毯や装飾品に見られる東方趣味的展開。画面の奥にはもう一人の女が描かれており、これは『アルジェの女たち』における黒人の侍女を変化させた展開と考えられるほか、女性らが身にまとう官能的な透ける衣服や絨毯とその模様、脱がれた靴、装飾品などは全てアラブ風であり、観る者に東方的な雰囲気を強く感じさせる。



【絨毯などに見られる東方趣味的展開】

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