2008/12/23掲載
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老人の頭部(Tête de vieillard) 1767年頃53×42cm | 油彩・画布 | ジャックマール=アンドレ美術館 関連:1767年頃制作 『老人の頭部(別ヴァージョン)』
大きく目を見開いた老人の強張った表情。パリのジャックマール=アンドレ美術館に所蔵される本作は≪老人の頭部≫を描いた極めて簡素な作品であるが、1767年のサロンへ出品された同画題の作品『老人の頭部(別ヴァージョン)』とほぼ同時期に制作されたと考えられている。
【目を見開いた老人の強張った表情】 毛羽立つかのような白髭の表現。表現手法にはティエポロ、フェデリコ・バロッチ、グエルチーノなど偉大なるイタリア絵画の巨匠らの影響を容易に見出すことができると共に、本作の対象(人物)への実直で真摯な取り組みには、オランダ絵画黄金期の大画家レンブラントの影響も指摘されている。
【毛羽立つかのような白髭の表現】 ティエポロを容易に連想させる軽やかさと奔放性に満ちた表現。本作の光の表現に注目しても、全体的な明瞭感と精神的心理性による静謐な空気の対比的描写を色彩によって見事に表現しており、観る者を強く作品の世界へと引き込んでいる。
【軽やかさと奔放性に満ちた表現】 |