2008/09/26掲載
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ダナエとユピテル(Danae e Giove) 1735-36年頃41×53cm | 油彩・画布 | ストックホルム大学美術史研究所
黒雲に乗りダナエの下へと降り立つユピテル。本作に描かれる主題はアルゴス王アクリシオスの娘ダナエに恋をした主神ユピテルが、黄金の雨に姿を変えダナエの下へ降り立ち愛を成熟させるという、新約聖書に記される受胎告知の原型とも推測されるほど有名な神話上の逸話≪ユピテルとダナエ≫である。
【ダナエの下へと降り立つユピテル】
寝具に横たわり浅い眠りにつくダナエ。主神ユピテルの位置の対角線上となる画面左下に配されるダナエは寝具へ横たわり浅い眠りにつき、その傍らでは幼い男児がユピテルの到来を告げるかのようにダナエの腰へ手を伸ばす仕草を見せている。
【寝具に横たわり浅い眠りにつくダナエ】
必死に黄金の雨を集める老侍女。明暗対比の大きな光彩と陰影の描写や躍動感に溢れたダイナミックな構図展開、演劇的な登場人物の姿態、濃厚ながら輝きを帯びた色彩などは当時のティエポロの特徴を良く示しているほか、軽やかな筆触による独特の浮遊感や高揚的な場面の表現には、後の天井装飾画の傑作群を予感させる
【必死に黄金の雨を集める老侍女】 |