2011/09/28掲載
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ヤコブと天使の戦い1861年(La lutte de Jacob avec l'ange) 751×485cm | 油彩・画布 | サン・シュルピス聖堂 関連:ゴーギャン作 『説教のあとの幻影(ヤコブと天使の闘い)』
遣わされた天使と格闘するヤコブ。本作の主題についてドラクロワ自身は≪選ばれし者が神から与えられる試練≫の寓意との解釈を語っており、そこから本作には画家の孤高と苦悩に満ちた画業における刻苦の軌跡が暗示されているとも解釈することもできる。
【天使と格闘するヤコブ】
色鮮やかな衣服や旅道具。画面中央左側には鬱蒼とした森の中で天から遣わされる天使とヤコブが組み合い格闘する姿が配されており、ヤコブの足元には一本の剣が、その右下には(ヤコブ自身のであろう)旅の道具や衣服が鮮やかな色彩で描き込まれている。
【色鮮やかな衣服や旅道具】
画面右側に描かれる旅の一団。主題を自然の中で描く独創性やミケランジェロからの影響が指摘される天使とヤコブの隆々とした肉体表現、鮮烈な色彩表現などには結核性咽頭炎に罹っていた老齢の画家の衰えない創作精神が顕著に感じられる。
【画面右側に描かれる旅の一団】 |