Description of a work (作品の解説)
2011/04/26掲載
Work figure (作品図)
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キリストの埋葬


(La mise au tombeau ou Christ au tombeau) 1848年
161.3×130.5cm | 油彩・画布 | ボストン美術館

19世紀フランス・ロマン主義の偉大なる巨人ウジェーヌ・ドラクロワ屈指の傑作『キリストの埋葬』。本作は新約聖書4福音書全てに記される、磔刑に処され死した受難者イエスの亡骸を十字架から降ろしゴルゴタの丘の墓へと納める場面≪キリストの埋葬≫を主題とした作品で、ドラクロワは手がけた宗教画の中でイエスの受難を題材(画題)とした作品を最も多く手がけているが、本作はその代表的作例として広く認知されている。画面中央下部に配される受難者イエスの亡骸は生気を全く感じさせない土気色を帯びつつ、胸部あたりの肌が強い光によって白く反射している。そして聖母マリアはイエスの頭部に手をかざしながら悲観に暮れ、その背後ではマグダラのマリアが聖母を支えながら虚ろな表情を浮かべている。さらに画面前景へは聖ヨハネが受難者イエスが被っていた荊の冠を手に項垂れる姿が描写されている。終焉を感じさせる黒雲立ち込める空模様と広遠とした空間構成の中で表現される本作の受難者イエスの死は、それまでのドラクロワの宗教画とは大きく異なり、まるでフランス古典主義の巨匠ニコラ・プッサンを連想させる静謐性と非運動性を感じることができる。特に悲しみに打ちひしがれながら死者をゴルゴタの墓へと運ぶ登場人物の鎮痛な感情を場面全体の雰囲気でも描写される本作の、ある種の表現的古典性にはドラクロワの表現様式の多様性を明確に見出すことができる。


【全体図】
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磔刑に処され死した受難者イエスの亡骸。本作は新約聖書4福音書全てに記される、磔刑に処され死した受難者イエスの亡骸を十字架から降ろしゴルゴタの丘の墓へと納める場面≪キリストの埋葬≫を主題とした作品である。



【受難者イエスの亡骸】
悲しみに暮れる聖母マリア。本作の受難者イエスの死は、それまでのドラクロワの宗教画とは大きく異なり、まるでフランス古典主義の巨匠ニコラ・プッサンを連想させる静謐性と非運動性を感じることができる。



【悲しみに暮れる聖母マリア】
沈痛な表情を浮かべる聖ヨハネ。悲しみに打ちひしがれながら死者をゴルゴタの墓へと運ぶ登場人物の鎮痛な感情を場面全体の雰囲気でも描写される本作の、ある種の表現的古典性には画家の表現様式の多様性を明確に見出すことができる。



【沈痛な表情を浮かべる聖ヨハネ】

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