Description of a work (作品の解説)
2008/05/09掲載
Work figure (作品図)
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ストックレー・フリーズ−生命の樹(原図)


(Stoclefries - Der Lebensbaim) 1905-09年
138.8×102cm | テンペラ・紙 | オーストリア工芸美術館

ウィーン分離派の巨匠グスタフ・クリムト後年を代表する作品『ストックレー・フリーズ−生命の樹』。本作は熱心なコレクターであった裕福な実業家(富豪)アドルフ・ストックレーがウィーン分離派を代表する建築家ヨーゼフ・ホフマンに依頼し、テルフューレン通りに建築させた邸宅(ストックレー邸)の食堂の左右と正面の壁の装飾画として制作された≪ストックレー・フリーズ≫の中から、最も印象的な≪生命の樹≫の原図(下絵)である。クリムトはこの装飾壁画で、中央に非常に抽象的な『狭き壁面(抽象的装飾)』を、左壁面には本作『生命の樹』を中心に『薔薇の茂み』と『期待』を、右壁面も左壁面同様『生命の樹』を中心に『薔薇の茂み』と『成熟(抱擁)』を配する構想を練り、この装飾原図を元にしストックレー邸の壁画装飾≪ストックレー・フリーズ≫をモザイク画として、ヨーゼフ・ホフマンが主催する建築・デザイン集団「ウィーン工房」が施工した(なおストックレー邸の内装全てが、このウィーン工房によって施工されている)。本作に描かれる大地に根を下ろした生命の樹は、太く雄弁な幹が示すよう、その(大地から吸い上げ)溢れ出す生命力を拡散させるかのように渦巻状の枝を四方へと伸ばしている。また幹部分には『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I』や『接吻』でも用いられた円形と三角形による装飾が施されており、この生命の樹の表情をより豊かなものとしている。さらに枝には一匹の隼(又は鷹)が留まっており、画家が装飾のモチーフとして用いたエジプトの美術において、古代から図案化されていた天空と太陽の神ホルスとの関連性も指摘されている(本作に描かれる三角形の目もホルスの目を思わせる)。このように本作は、クリムトが様々な形で表現してきた装飾様式の頂点を示すものであり、拡散する枝から感じられる生命の連鎖的永続性と共に、観る者に強く迫ってくる。

関連:『ストックレー・フリーズ−狭き壁面(抽象的装飾)の原図』
関連:『ストックレー・フリーズ−薔薇の茂みの原図』
関連:『ストックレー・フリーズ−期待の原図』
関連:『ストックレー・フリーズ−成熟(抱擁)の原図』


【全体図】
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円形と三角形による装飾が施された生命の樹。本作はテルフューレン通りに建築させたアドルフ・ストックレーの邸宅の食堂の左右と正面の壁の装飾画として制作された≪ストックレー・フリーズ≫の中の、最も印象的な≪生命の樹≫の原図である。



【装飾が施された生命の樹】
四方へと伸びる渦巻状の枝。本作に描かれる大地に根を下ろした生命の樹は、太く雄弁な幹が示すよう、その(大地から吸い上げ)溢れ出す生命力を拡散させるかのように渦巻状の枝を四方へと伸ばしている。



【四方へと伸びる渦巻状の枝】
枝に留まる一匹の隼(又は鷹)。この隼は画家が装飾のモチーフとして用いたエジプトの美術において、古代から図案化されていた天空と太陽の神ホルスとの関連性も指摘されている(本作に描かれる三角形の目もホルスの目を思わせる)。



【枝に留まる一匹の隼(又は鷹)】
草花が咲く大地の鮮やかな色彩。クリムトはこの装飾壁画で、中央に非常に抽象的な『狭き壁面(抽象的装飾)』を、左壁面には本作『生命の樹』を中心に『薔薇の茂み』と『期待』を、右壁面も左壁面同様『生命の樹』を中心に『薔薇の茂み』と『成熟(抱擁)』を配する構想を練った。



【草花が咲く大地の鮮やかな色彩】

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