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ジョルジュ・ド・ラ・トゥール (Georges de La Tour)
2008/01/13掲載
【全体図】
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■
帽子のあるヴィエル弾き(蝿のいるヴィエル弾き)
(Le Vielleur au Chapeau) 初期頃と推測される
162×105cm | 油彩・画布 | ナント美術館
フランス古典主義の大画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥール作『帽子のあるヴィエル弾き(蝿のいるヴィエル弾き)』。本作はかつて
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
を始め、
フセペ・デ・リベーラ(ホセ・デ・リベラ)
や
ディエゴ・ベラスケス
、
フランシスコ・デ・スルバラン
などラ・トゥールと同時代に活躍した様々な17世紀スペインの画家によって制作されたと考えられていたものの、1920年代にピエール・ランドリーによって指摘され、1931年、ドイツの著名な美術史研究者ヘルマン・フォッスによって画家の帰属とされた作品で、中世からルネサンス期には貴族らにも愛されていたが、17世紀頃には農民や乞食など貧民層(下級階層)の楽器として蔑まれるようになった古楽器≪ヴィエル・ア・ルー≫を手にする独りの老人が描かれている。ラ・トゥールは『
犬を連れたヴィエル弾き
』、『
肩掛け袋を置いたヴィエル弾き
』など古楽器ヴィエルを手にする単身男性像作品を数多く制作しているが、本作はその中でも最も代表的な作例のひとつとして知られている。圧倒的な写実的描写によって表現される(盲目を思わせる)孤独な老人の姿は、観る者に悲愴感に溢れた感情的な印象を与え、場面の中に漂う静謐な空気や雰囲気がそれを強調する。さらに本作中に描かれる特徴的な蝿の描写は、古代から画家としての技能・技量を示すアトリビュート的な意味を持っているほか、ラ・トゥールの画業との関連性も指摘されているフランドル絵画では儚さの象徴としても知られている。また本作最大の見所のひとつである明瞭で鮮やかな色彩の表現は、画家初期の作品群の中でも特に秀逸の出来栄えであり、目を見張るものがある。
関連:
ベルグ市立美術館 『犬を連れたヴィエル弾き』
関連:
フリリー美術館所蔵 『肩掛け袋を置いたヴィエル弾き』
【(盲目を思わせる)孤独な老人の姿】
(盲目を思わせる)孤独な老人の姿。圧倒的な写実的描写によって表現される(盲目を思わせる)孤独な老人の姿は、観る者に悲愴感に溢れた感情的な印象を与え、場面の中に漂う静謐な空気や雰囲気がそれを強調する。
【貧民層の楽器と蔑まれたヴィエル】
本作は中世からルネサンス期には貴族らにも愛されていたが、17世紀頃には農民や乞食など貧民層(下級階層)の楽器として蔑まれるようになった古楽器≪ヴィエル・ア・ルー≫を手にする独りの老人を描いた作品である。
【明瞭で鮮やかな帽子の色彩】
明瞭で鮮やかな帽子の色彩。本作は様々な17世紀スペインの画家によって制作されたと考えられていたものの、1920年代にピエール・ランドリーによって指摘され、1931年、美術史研究者ヘルマン・フォッスによって画家の帰属とされた作品である。
【画家としての技量を示す蝿の描写】
古代から画家としての技能・技量を示すアトリビュート的な意味を持っている特徴的な蝿の描写。ラ・トゥールは『
犬を連れたヴィエル弾き
』、『
肩掛け袋を置いたヴィエル弾き
』など古楽器ヴィエルを手にする単身男性像作品を数多く制作しているが、本作はその中でも最も代表的な作例のひとつとして知られている。
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