2007/04/07掲載
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麗子微笑(青果持テル)(Smiling Reiko with a green fruit in her hand) 1921年 45.7×38cm | 油彩・画布 | 東京国立博物館(上野) 関連:東京国立近代美術館所蔵 『麗子五歳之像』
柔和な微笑みを湛える愛娘・麗子の肖像。画家自身の言葉によれば10日ほどで完成させたとされる本作は、愛娘である麗子を描いた連作群の中でも特に知られる作品であり、昭和46年には国の重要文化財に指定されている。
【柔和な微笑みを湛える愛娘・麗子】
幼さの名残り漂う小さな右手の青果。この青果と頭部と比較すると、麗子の右腕はやや小さく描かれ、劉正独自の卓越したバランス感覚と、忠実な写実をさらに突き詰め、対象に変形を加えることによって神秘的な味わいを深めていくという彼の非凡な態度を看取することができる。
【幼さの名残り漂う小さな右手の青果】
写実に傾倒していた1910年代後半の作品と比較するとやや大ぶりの筆触で描写された肩掛。肩掛は本来麗子の遊友の村娘お松の所有物だったが、劉生が好んだため、麗子に買い与えたショールと交換するほどであったという逸話が残されている。
【やや大ぶりの筆触で描写された肩掛】 |