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ジョシュア・レノルズ(レイノルズ) Sir Joshua Reynolds
1723-1792 | イギリス | ロココ美術
18世紀ロココ期の英国を代表する肖像画家。高貴で壮麗な肖像画を数多く手がけ、それまで他国の画家が重要視され、独自の絵画文化を築き上げることができなかった同国の画家の地位と水準を引き上げることに専念。現実と理想の狭間でそれは大成することはなかったものの、英国絵画史においては現在、最も重要な画家のひとりとして認知されている。レノルズは厳格な古典絵画の研究に基づいた保守的な荘厳様式(グランド・マナー)による歴史画を絵画の頂点に位置付け、それを奨励するものの、画家自身は肖像画の制作に専念した。1723年、英国南東部プリンプトンのデヴォンシャーの聖職者の一家に生を受け、1740年、肖像画家トマス・ハドソンに絵画を学ぶ。1749年から1752年までイタリアに滞在。同国で
ルネサンスの巨匠
ミケランジェロや
ラファエロ・サンツィオの作品など古典美に開眼、古典美術の研究に没頭する。また
アンニーバレ・カラッチ、
ドメニキーノ、
グエルチーノなどボローニャ派や
ピーテル・パウル・ルーベンス、
ヴァン・ダイクなどからも強く影響を受けている。1753年、故郷英国へ帰国、同年ロンドンで工房を開き、間もなく貴族社会で圧倒的な人気を博すことになった。数多くの肖像画作品を制作し画家としての名声を確立する。1768年、英国に創設されたロイヤル・アカデミーの初代会長に就任、英国画壇の頂点に君臨し、以後、約20年間で15回おこなわれた講演の中で歴史画の優位性と荘厳様式(グランド・マナー)を説き、同国におけるアカデミズムの基盤を築き、同国の美術界において決定的な影響を与えた。1789年失明によりロイヤル・アカデミー会長職を辞任。1793年、ロンドンで死去。