Description of a work (作品の解説)
2011/01/16掲載
Work figure (作品図)
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大蛇の神ピュトンに打ち勝つアポロン


(Apollon vainqueur du serpent Python) 1850-51年
800×750cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

19世紀ロマン主義を代表する画家ウジェーヌ・ドラクロワが手がけた公共建築への装飾作品の重要作『キリストの磔刑大蛇の神ピュトンに打ち勝つアポロン』。画家が52歳の時に政府からルーヴル宮アポロンの間(ギャルリー・ダポロン)の天井装飾画の依頼を受け制作された本作は、古代ローマの伝説的な詩人オウィディウスによる傑作詩篇≪変身物語(転身物語)≫に記される≪太陽神アポロン≫の逸話を典拠とした、まさにアポロンの間のための作品である。本作に描かれる場面は古代ギリシアの都市国家デルポイの地(パルナッソス山の麓に存在したとされる伝説的な都市)を守護していた予言の力を有する巨大な雌蛇ピュトンを、神託所を設けるために大地の母神ガイアに代わって退治する太陽神アポロンであり、ドラクロワは本作を手がけるにあたりベルギーの都市アントウェルペンへ赴き同地出身の偉大なる画家ピーテル・パウル・ルーベンスの作品を研究し多くの着想を得ていることが知られている。画面中心に描かれる太陽神アポロンは他の神々の助勢を受けながら黄金の四頭立て戦車(凱旋車)に乗り怪物ピュトンに向けて弓を引く姿で神々しく描かれている。その弓の先には既に数本の矢で射られ鮮血を滴らせながら威圧するかのように牙を剥く巨蛇ピュトンが配されており、さらに(本図において)画面最上部にはこの物語の結末を示すよう勝利の冠を授ける女神が描き込まれており、神と邪、勝利と敗北、そして野蛮に対する文明の勝利の寓意という構図が見事に展開している。画家のダイナミズム溢れる場面展開と複雑で多様な色彩がより装飾性を際立たせる本作は、後に象徴主義の画家オディロン・ルドンが手がけたアポロンを主題とした作品の曙光となった。


【全体図】
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邪神ピュトンへ向けて矢を放つアポロン。画家が52歳の時に政府からルーヴル宮アポロンの間(ギャルリー・ダポロン)の天井装飾画の依頼を受け制作された本作は、古代ローマの伝説的な詩人オウィディウスによる傑作詩篇≪変身物語≫に記される≪太陽神アポロン≫の逸話を典拠とした作品である。



【ピュトンへ向けて矢を放つアポロン】
身をくねらせながら威嚇する巨蛇ピュトン。画面最上部にはこの物語の結末を示すよう勝利の冠を授ける女神が描き込まれており、神と邪、勝利と敗北、そして野蛮に対する文明の勝利の寓意という構図が見事に展開している。



【威嚇する巨蛇ピュトン】
アポロンを賛助する神々。ドラクロワは本作を手がけるにあたりベルギーの都市アントウェルペンへ赴き同地出身の偉大なる画家ピーテル・パウル・ルーベンスの作品を研究し多くの着想を得ていることが知られている。



【アポロンを賛助する神々】

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