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最後の晩餐 (Ultima Cena) 1526-1527年
462×872cm | フレスコ | サン・サルヴィ修道院 |
古典主義への傾倒を見せるアンドレア・デル・サルトの代表的な作品『最後の晩餐』。フィレンツェのヴァッロンブローサ修道院(現美術館)の食堂を飾るために描かれた本作の主題は≪最後の晩餐≫であり、裏切り者を指摘する極めて緊迫した場面が描かれているが、決して劇的な表現には陥らず、あくまで神性を意識した品の高い表現が用いられている。これは同主題による世紀の傑作を残したレオナルド・ダ・ヴィンチからの強い影響が感じられ、1529年、フィレンツェへ侵攻したスペイン軍が、本作のあまりの美しさに、破壊を留めたという逸話やルネサンス期のフィレンツェにおいて、同主題を描いた最後の大作となる本作は1511年に依頼されたが、制作は大幅に遅れ、16年もの歳月を経た1527年に完成した記録が残っている。本作の主題≪最後の晩餐≫はイエスが自ら予告していた、近づく死の前日に十二使徒と共に摂った夕食を指し、イエスの身体を示すパンやイエスの血を示すぶどう酒の存在、ユダの裏切りなど、教義において特に重要視される。また教会における聖餐式はこれに由来している。
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