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絵画の祖とも呼ばれている、ゴシック絵画最大の巨匠
ジョット・ディ・ボンドーネ
偶像崇拝を禁止しているキリスト教。キリストや聖母マリアなど神や聖人(人物)を人として捉えず、象徴化(聖像化)して描くのが当たり前であった宗教画において、それらを人間として表現し、それを確立させた画家。絵画と言えば(象徴化して表現する)宗教画がほぼ全てであった当時の世の中からすると、教義を根本から覆すような革命的表現だったのかもしれない。その後、特にルネサンスの絵画表現に与えた衝撃は大きいと思う。
★代表作:荘厳の聖母、スクロヴェーニ礼拝堂の壁画連作など
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その恐るべきリアリズムは、今なお色褪せない
ヤン・ファン・エイク(エイク兄弟)
油彩画の技法を確立させた画家。極論を言うと視覚的な写実性はエイクで完成したと言っても過言じゃないかと。現実そのままのように描く画家は昔も今も大勢居るんだけど、エイク以降の画家がどんなに上手く(視覚的な)写実的表現をおこなっても、結局、最後にはこの画家に辿り着くのかな。そういう意味でエイクって、本当に偉大だし、驚嘆すべき画家だと思います。
★代表作:ヘント(ゲント)の祭壇画、アルノルフィーニ夫婦など
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万物の天才は、やはり絵画においても偉大であった
レオナルド・ダ・ヴィンチ
入れようかどうか散々迷ったけど、結局最後の最後に入れました。絵画としての表現や手法に関して言えばミケランジェロやラファエロ、ティツィアーノなんかの方が後世に与えた影響は大きいだろうけど、それでも絵画そのものの象徴的な作品『モナ・リザ』を制作したことはとてつもない偉業かと。(まぁ言ってしまうと、後世の人間が『モナ・リザ』を絵画の象徴的な作品へと祭り上げたんだけど、それを掴んだ運命?もすごいと思います)
★代表作:受胎告知、最後の晩餐、モナ・リザなど
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名画の中の名画「ラス・メニーナス」を手がけた巨匠
ディエゴ・ベラスケス
人物の感情や場面の(動的・静的な)動きを光と闇を描き込むことによって劇的に表現することを確立したのがカラヴァッジョ。美術作品としての(古典的)絵画を継承し、時代や流行に合わせて柔軟に発展させ、その価値や社会的意味をさらに高めたのがルーベンス。何れも類稀な才能を持った画家なんだけど、≪表現≫としての絵画(カラヴァッジョ)、≪美術≫としての絵画(ルーベンス)、その両方を極めて高いレベルで融合させた絵画を制作したのがベラスケスってところだろうか。ムリーリョ、ゴヤ、ピカソ、ミロ、ダリ…。スペインは天才と呼ばれる画家を多数排出しているけど、真の天才はこの人のことを言うのかもしれない。
★代表作:鏡を見るヴィーナス、ラス・メニーナス(女官たち)など
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自画像に限りない可能性を示したオランダの大画家
レンブラント・ファン・レイン
己の姿を描くことによって自分を表現し続けた画家。自画像は当時は既に一般的な画題(金がない若い画家の練習用画題としてもポピュラーな画題)であったが、描き表現する対象として≪己(自分)≫というものを生涯をかけて掘り下げ、(内面的・精神的要素も含む)自身そのものにまで昇華させたことは、芸術に携わる全て者にとって見逃せない出来事だと思う。(デューラーの自画像なんかもそう言う一面があってかなり迷ったんだけど、「生涯をかけて」ってところでレンブラントを推しました)
★代表作:夜警、エマオの晩餐、聖パウロに扮した自画像など
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絵画とは視覚情報であることを、改めて認識させられる
ニコラ・プッサン
絵画史上、最も絵画らしい絵画を描いた画家…つまり、自分以外の他者が見て、的確に内容や意図が伝わることを絵画の目的(本質)とするならば、プッサンはそれを最も上手く表現した画家なのかもしれません。古典に倣う計算された画面構成や構図、高度な技術による構成要素の描写、的確でわかりやすい表現は今でも素直に感嘆してしまう。そのまま見れば至極普通だし、ありきたりな絵画。されどそういう面から見れば真に恐るべき絵画。そりゃ後世の画家も影響を受けるわ。
★代表作:サビニの女たちの略奪、アルカディアの羊飼いたちなど
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鋭い批判精神と傑出した幻想性は、近代絵画の扉を開いた
フランシスコ・デ・ゴヤ
近代絵画の創始者の一人として数えられる画家。もちろんゴヤは優れた画才を持っていたんだけど、何がゴヤを世界屈指の巨匠へと押し上げたかって言うと、やはり出生(ゴヤは田舎者で都会の画家にある種のコンプレックスを抱いていた)や大病を患ったこと(聴覚の喪失)、その他フランス革命(そしてその後の自由主義革命)なんかの出来事に遭遇したってことが大きいのかな。つまり時代が生んだ巨匠って言い方が正しいのかもしれない。ただ、それでもそんな人生で感じたことを表現し、世の中(当時の社会)に問い続けたことは、画家として在るべき姿のひとつなのかなぁと。それに後年に手がけた版画や連作「黒い絵」なんか内容的にも表現的にも(当時としては)桁外れに深い出来栄えだと思うし。
★代表作:裸のマハ、プリンシペ・ピオの丘での銃殺、黒い絵など
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印象派の始祖的存在にして、最大の画家
クロード・モネ
実質的な印象主義表現の確立者。印象主義の表現自体は美術史的に一世を風靡した様式のひとつに過ぎないのかもしれないけど、それまでずっと続いてきたアカデミック(伝統的)な絵画様式や表現手法、美術論から、新たな表現や価値、思考へと移行した出来事(簡単に言うと、当時の価値的には宗教画や歴史画が最も崇高なもので風景画や静物画は低レベルのものと見なされていたが、印象主義の作品らによって風景画や静物画も絵画として同等の価値を得ることになった)は美術史上、非常に重要な出来事で、その中心にいたモネはやはり外せないかと。ルノワールと迷ったけど、最後まで陽光の描写(戸外制作)にこだわったことでモネを選択。
★代表作:印象 -日の出-、積みわら、睡蓮など
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絵画の表現を一変させた、近代絵画の父
ポール・セザンヌ
絵を描く上での基礎中の基礎「対象(人や物)を見る」ということを革新的に進化させた画家。当たり前のようだけど、通常、絵画を制作するときの視点はひとつ。でもセザンヌはひとつの作品(画面)の中に、複数の視点を導入した。つまり「右のリンゴは正面から見た方がカッコ良いし、左のリンゴは上から見た方がカッコ良い。んじゃ、右のリンゴは正面から見た視点で、左のリンゴは上から見た視点で作品を描こう。」ってことをセザンヌはやったわけ。画面内に複数の視点が存在するので、当時の人々は非常に戸惑い、理解はしなかったけれども、この前衛的で革新的な表現が後世に与えた影響は非常に大きい。実際、晩年には新時代の芸術の先駆者として若い芸術家の支持を受けてたし。
★代表作:リンゴとオレンジ、サント・ヴィクトワール山など
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天才の名を欲しいままにした、20世紀最大の画家
パブロ・ピカソ
ピカソの何がすごいのか?それを答えられる人ってどれくらいいるのだろう。簡単に言ってしまえばピカソは「美しいものを美しく描き表現することが美術である」という≪美術≫の定義や概念を覆すことに成功させた人なんです。醜悪なものを醜悪な様に描き表現することも≪美術≫なのだと代表作『アヴィニョンの娘』で宣言し、それを認めさせた。その功績は偉大の一言に尽きる。ただ、これ以降、野獣派(フォーヴィズム)や表現主義、抽象芸術、構成主義など複雑化した20世紀芸術の、よく言えば進歩に導く為の多様的難解性、悪く言えば「わけわかんねぇ」って感じの(ある意味)迷走を招いた要因のひとつがピカソにあることも事実なのだが(※注1)。
★代表作:アヴィニョンの娘、泣く女、ゲルニカなど
※注1:要するに20世紀芸術は「これが芸術?」って思わず首を傾げたくなる作品や、身勝手な自己完結作品が過剰にもて囃されたってことね。 |
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